私は2013年の春に主人と結婚し、現在住んでいる地域に引っ越してきました。
それまでは留学中に起きたリーマンショックの影響もあり、思うように英語に関係する仕事に就けなかったのですが、結婚後しばらくして地元の英会話教室に就職することができました。
外国人の先生のいる職場にお勤めすることが夢だったので、とっても舞い上がったのを覚えています。
学校以外の教育サービス(塾など)でありがちですが、出勤時間と退勤時間が一般的な会社と違って遅いので結婚生活や家事と両立できるか不安でしたが、せっかく希望していた業界に入ることができましたし、何より主人の理解と応援があったので頑張る気持ちを持つことができました。
今日は英会話教室の「経営のホンネ」を暴露しつつ、英語を学ぶ本質を考えてみたいと思います。
英会話教室に通いたい大人の方、子どもを通わせたい親御さん、英語学習を始めようと思っている方に届けば幸いです。
地域密着型の英会話教室
私が就職した英会話教室はいわゆる大手ではなく県内に教室が10カ所ないくらいの会社で、社名を知っているのも地元の人だけだと思います。
教室にもよりますが、外国人の先生と日本人の先生合わせて10人くらい在籍しており、英語に触れられる職場にいられることが本当に楽しかったです。
でもカリキュラムはしっかりしていた印象で、いろいろな教材もそこで勉強させていただきました。
普通の会社より出社は遅く、教室をオープンするのはお昼の時間帯です。
午後に入ると、未就園児や主婦の方、お仕事を引退されたオジサマ達など、生徒さんが少しずつレッスンにいらっしゃいます。 夕方〜夜には園児さんから大学生までの学生さん、社会人の方々など1日かけて幅広い年齢層の生徒さんがお見えになります。
マネージャーの意外(?)なシゴト
研修を終え、配属されて最初にやらされたお仕事は、ひたすら
「生徒さんに話しかける」というものでした。
入り口から入ってくる初対面の方に突然「Hello!」と声をかけ、

と挨拶をし、世間話をしなくてはいけませんでした。
最初に配属された教室は生徒数が約300人。
それと同じ数だけ挨拶をする必要がありました。
もともと顔と名前を覚えるのが苦手な方なので、それはそれは大変でした。
私は若い頃から長いこと接客業をしていたので本来は人に話しかけたり世間話をしたりすることはそれほど苦ではなかったはずなのですが、意外と多くの生徒さんがフレンドリーに話してくれるとは言えず、義理で応答してくれているように思え、だんだんと声をかけるのが苦痛になっていったのです。
ところで英会話教室のマネージャーの最初のシゴトが「生徒さんに話しかけること」なのは、なぜだと思いますか?
挨拶は確かに必要ですが、実はその理由は挨拶することそのものではありませんでした。
全ては「売る」ため
英会話教室でスタッフが生徒さんに話しかけるのは
「あなたと会話を楽しみたいから」ではありません。
(※個人の意見ですが…)
雑談をすることで、まず生徒さんに「顔と名前」を売ります。
そして生徒さんになるべく「話しやすいスタッフさん」という印象を与えるわけです。
サービス業ならとても自然で当たり前な流れですね。
実は教室では、定期的にスタッフと生徒間で行う「面談」で、学習の進捗やお悩み相談などをヒアリングします。
普段から気さくに会話しておくことで、この面談での「話しやすさ」を感じてもらえるよう、信頼を積み重ねておくのです。
スタッフは生徒さんと信頼関係を築くことにより次のクールの学習コースを営業し、獲得したいと考えているのです。
営業して既存のコースが継続されたり、新たなコースが追加されたりすると、当然それが自分の営業成績となります。
配属された教室の上司の指示はこのようなものでした。
「とにかく生徒さんにあいさつをして早く名前と顔を売るように」
全ては「自分を売る」「信頼関係を築く」ため。
そしてその目的は「コースの継続や追加を獲得するため」だったのです。
それを知ったとき、落胆のあまりコミュニケーションを取ることがあっという間に苦痛になりました。
楽しくあるべき「人との会話」が自分を売り込む為だなんて…
ビジネスシーンでは当たり前のことですが、もともと営業することが好きではない私はちょっと心が折れてしまったのです。
英会話教室でのお仕事は「マネージャー」という名前だけあって
「生徒さんたちのサポート!お役に立ちたい!」
と、メルヘンなイメージをしていた私。
今考えると単に甘かっただけですが、全ては若かったから!(笑)
ということにしておきたいと思います。
必要以上の会話をしたがらない日本人
あなたはスーパーやレストランなどで「いらっしゃいませ」と言われたとき、返事をしますか?
ほとんどの方が、目をそらして無視してしまうのではないでしょうか?
私がアメリカに渡って驚いたのは、現地の多くの人がお店の店員さんと目を合わせて挨拶を交わし、狭い場所で知らない人に道を譲られたりしたらきちんと目を見てお礼を言うことでした。
日本に帰国して

と気づいてさみしい思いをしたことがあります。
お給料の発生する現場ではコンビニでも会社でもデパートでも…接客の質は世界的に見ても素晴らしい日本人なのに、お客になったとたん自分が上の立場になったような態度を取る人をたくさん見てきました。
「お客様」として教室に通っている方々も例外ではなく、せっかく高いお金を払って英語を学びに来ているのに、コミュニケーション力は向上させないのかと言いたいくらいでしたね。
グローバルな人材になるには?本当に必要なのは「英語力」ではない!
マネージャー時代、とても驚かされた生徒さんがいます。
中学生のお姉ちゃんと小学生の弟が2人そろって通っていたのですが、上司から事前にこんな注意を受けていました。
「◯◯さんの2人には、声をかけないように」
理由は、以前お母様から依頼があったためとのこと。
「うちの子ども達はとても恥ずかしがり屋なので、話しかけないでください」
それを聞いた私、ひっくり返りそうになって驚きました。
子どもですから、大人と話をするのが恥ずかしい・苦手だという子がいることは理解できますし、仕方のないことだとも思います。
私が本当に驚いたのは、だからと言って「話しかけないでほしい」と依頼する母親の方でした。
彼らは英会話を学びに来ていますが、「学んでいるのは英語力だけ」なのです。
人とコミュニケーションを取ることや、そのために必要な会話技術を学ぶ機会をみすみす手放しているじゃありませんか!
2020年に英語教育が変わることは以前の記事で書きましたが、今後はますます「英語力」ではなく、「英語を使ったコミュニケーション力」が必要になっていきます。
必要なのは覚えた英単語の数ではなく、「あなたはどう思いますか?」と聞かれた時に「自分の意見が言えるか?」という部分が重要になっていくのです。
物を売るにしても、自分や自分の会社のサービスをアピールするにしても、過去の経験を話すにしても…
「会話力」がなければ仕事になりませんよね。
(営業力のなかった私だから言えます)
その姉弟が何のために英会話を学んでいるのかは知りませんが(話しかけられなかったので)、人とコミュニケーションを取る機会を断たれたことによって将来何が出来るのか、私にはよくわかりません。
そして「それを良し」として子どもを守っているつもりの母親も、理解できませんでした。
「会話力」って、どういうこと?
海外では日本人同士で話す時には到底降りかかってこない質問が飛んできます。
あらゆるシーンで意見や感想を求められ、曖昧な返事をすると信頼を得ることができません。
「ひな祭りって、なんのためにするの?」
「着物の袖は、どうしてあんなに長いの?」
「あなたはどうして無宗教なの?」
これらのような質問に、さっと答えられる日本人がどれだけいるでしょうか?
日本の文化や行事の成り立ちを説明どころか知りもしない日本人が多いのです。
これに対して「よくわかんない」「どっちでもいい」という返事ばかりでは、グローバルな人材になれないことは言うまでもありませんね。
外国人とコミュニケーションをとりたければ、英語力よりも前に「会話力」が必要です。
そして「知識」は、もっと必要です!
お子さんを「海外に出しても恥ずかしくない」人に育てたければ、人と会話をさせてください。もちろん無理させない程度に、で十分です。
おうち英語なら、親子でその練習が可能です!
ちなみに私のマネージャー生活ですが、たった2ヶ月で終わりを迎えました。
ここには書ききれないほどたくさんの小さな理由がありましたが、何はともあれ1番の理由は私自身がダメダメだったと言うことでしょうね(笑)